新患さんその3(膝蓋骨脱臼)
お疲れ様です。
今日は左膝蓋骨脱臼の患者さん。
高校生の女の子で、今日の体育のバスケで膝を捻って受傷したとの事。
一年ほど前に膝蓋骨脱臼の既往があり、疼痛や不安定性は改善してリハビリは終了したものの、動いた後などは膝が気になると親御さんに話していたらしいです。
スポーツなどは特にやっておらず、日常生活や体育の授業で体動かす程度だそうです。
今回、膝蓋骨脱臼とともに内側半月板損傷を合併しています。
その為、脱臼が反復したり不安定性が消えない場合や、半月板の引っ掛かり感などの症状が強くなった場合は手術も考えないといけない症例だと思っています。
医学情報
内側半月板損傷
MPFL(内側膝蓋大腿靭帯)損傷
問診、視診
熱感+
腫脹+
疼痛検査
・NRS5〜6
・圧痛
→膝蓋骨上外側部(外側広筋膝蓋骨付着部)
内側半月板
・疼痛誘発動作
→ニーイン
片脚立位
身体所見
・ROM
→膝屈曲145/80
伸展0/-5
足関節背屈10/10
・MMT
→股関節伸展4/4
外転4/4
・不良アライメント
→軽度骨盤前傾位
踵骨回外位
整形外科的テスト
トーマステスト +/疼痛により不可
エリーテスト +(HBD:3cm)/疼痛により不可
オーバーテスト +/+
マックマレーテスト -/+
この評価結果から、、、
問題点
①炎症症状
②腸脛靭帯・外側広筋過緊張
③臀筋筋力低下
と考え、初回の治療を行いました。
とはいえ、疼痛や炎症が強いため直接膝にはほとんどアプローチせず、電気治療やリラクゼーション、患部外トレーニングで様子を見ます。
①炎症症状
これに対しては、アイシングと微弱電流(マイクロカレント)で対応しました。
自宅でも、暇さえあればアイシングしてください!と指導済み。
②腸脛靭帯・外側広筋の過緊張
これらの筋、靭帯の過緊張が生じると、膝蓋骨を上外側に牽引する力が強くなる為、再脱臼のリスクが大きくなります。
また、内側広筋の筋力や、骨盤のアライメントなども関連して緊張してくるため、そこも改善が必要かと考えます。
内側広筋の筋力に関しては、流石に今日の今日なので痛みが強く収縮も入らない感じだったため、痛みや炎症が落ち着いてから再度評価していきます。
治療としては、徒手で腸脛靭帯に対しリラクゼーションを行いました。
ある程度緊張を落とすことで膝の可動域制限も伸展0°、屈曲110°まで改善が見られました。
③臀筋筋力低下
これに関しても、体重を臀筋で支えることができていないことから、代償として腸脛靭帯などの過緊張につながるため、しっかり強化していく必要があります。
また、アライメント不良から臀筋を使いずらい姿勢になっていることも考えられるため、それも改善する必要があると考えます。
治療としては、中臀筋のトレーニング指導を行いました。
これで来週まで経過を見てみます。
では。
新患さんその2(変形性足関節症:治療編)
お疲れ様です。
前回の評価を活かして治療を行っていきます。
評価から、問題点として
①距骨後方滑りが出ていないこと、
②Kager's fat padの柔軟性低下、
③FHL(長母指屈筋)の柔軟性・滑走性低下
が考えられたため、それらに対してアプローチを行っていきました。
まずは
①距骨後方滑りが出ていないことについて
そもそも距骨後方滑りが阻害される原因はなんでしょうか。
あんまり調べても出てこないので自分の考えですけど、
外側靭帯損傷でよく損傷しやすい前距腓靭帯はその名の通り距骨と腓骨を繋いでおり、距骨の前方制動作用があります。
そのため前距腓靭帯が損傷されると前方制動機能が作用しなくなり距骨の後方滑りが阻害されると考えました。
合ってるか知らんけど笑
それと同時に③FHLの柔軟性・滑走性低下も原因として考えられます。
FHLの走行は、腓骨後面下部2/3から母趾末節骨底に走行しますが、距骨の後方で長母趾屈筋腱溝を通ります。
このように距骨の後方を通過するため、長母趾屈筋の柔軟性・滑走性が低下すると距骨の後方滑りが阻害される要因となります。
次に②Kager's fat padの柔軟性低下です。
柔軟性低下の原因としては、膝などの脂肪体と同じような考え方で自分は考えていますが、炎症が脂肪体へ波及してきた結果として柔軟性の低下が起きると考えています。
Kager's fat padは底背屈時に関節と同時に動いてくるため、ここがうまく動かないと関節運動に制限因子になってしまうことがあります。
そのため、しっかり柔軟性を出していくことが重要になります。
なので、後方滑りの誘導しながらの背屈可動域訓練や、母趾を動かしながら長母趾屈筋の滑走を促すように誘導しながらのアプローチなどを行っていきます。
またKager's fat padの柔軟性を出していく為に、直接Kager's fat padをモビライゼーションしたり、自動底背屈運動しながら各パートが動く方向へ誘導するアプローチをするなどをしていきたいと思います。
以上です。お疲れ様でした。
新患さんその2(変形性足関節症:評価編)
お疲れ様です。
今回は変形性足関節症の患者さん。
変形性足関節症(足OA)は、足部・足関節障害の慢性化により生じることが多いとされてます。
足OAでは軟骨損傷を認めますが、足関節捻挫後の軟骨損傷の有病率が急性期より慢性期に多く、重度とされています。
つまり、捻挫をほっといて不安定性が改善しないままにしちゃうと軟骨損傷や骨棘ができちゃうってことですね。
現在、足関節外側靭帯損傷とかで治療している人は気をつけましょう。
概論みたいなのはこれほどにして、それではやっていきます。
主訴は「右足で階段を降りるときに足関節前面〜外側面〜後面が痛い」です。
受傷起点等は特にないが、実はこの人今回の患側である右足とは逆の左足も変形性足関節症の診断を受けています。
しかし左足はかなり前かららしく、サポーターでガッツリ固定していて実際診せてもらうと可動域はほぼゼロ。
今回の右足の症状も、前にやった左の症状とよく似ていたため、早期に受診したとのこと。
昔はバスケをやっていたらしく、捻挫の既往も両側あるとのこと。
まあこの辺はあるだろうなと思っていたのでまあそうだよねーって感じ。
さて評価です。
まず患者さんに会う前に画像所見をチェック。
レントゲン側面像で脛骨前方に骨棘を認めます。
→前方の痛みはこれが原因かな?背屈のアライメントとかどうかな?
こんにちは〜。
まずは疼痛について。
・どこが痛くなりますか?
→診察と同じように、「足関節の周りですね〜、前から外側、後ろ側です。」
その時の痛みはNRSで3くらいで、本人曰く違和感程度だそう。
・どんな動作で痛いですか?
→「右足を残して階段を降りるときに痛いです。普通に歩くのは全然痛くないです。」
つまり荷重位での背屈で痛いってことか。
→右足を前にてランジ動作をしてもらったところ、同じ疼痛が出現。
今回の痛みは「荷重位での背屈時痛」と言うことですね。
ちなみに徒手で背屈強制しても疼痛出現しました。
今回は忘れず再現痛取りました。笑
・圧痛所見
→前方の距腿関節(距骨前脂肪帯?)、Kager's fat pad(パートまではわかりません)、外果後方に認めました。
一番強かったのは前方の距腿関節(距骨前脂肪帯?)。
ここにはまさに骨棘あるのでそれによって関節包とかが炎症起こしてたかもしてないし、OAなんで軟骨損傷で関節内部での炎症かもしれないですね。
また、炎症が起きれば脂肪帯にも当然影響あるので炎症から硬さがでて圧痛取れたかもしれないですね。
次に可動域。
背屈:5°/0°
底屈:30°/5°
可動域制限は強く認め、最終域では背屈底屈ともに痛み出現。
痛みは主に前方距腿関節に認めました。
次に整形外科的テスト。
内反不安定性テスト:+/−
前方引き出しテスト:−/−
右の内反方向への不安定性を認めましたが、その他は正直硬さ、拘縮が強くてテストが陰性になっている印象でした。
左に関してはそもそもほとんど動かないって感じです。
次に足部アライメント。
内側縦、外側縦、横アーチの低下を認めていますが、FPI-6などの評価を正確に行なっていないため、視診での評価となってしまっています。
画像評価からも、踵骨の角度が底屈位であったことも扁平足の原因かも。
触診で足部の骨アライメントとかもしっかり触り分ける必要がありますね。
初回に見た評価はこんなもんです。
足りてない評価はまた次回見たときにしようと思います。
足りてない評価について
・荷重時背屈可動域は?
・距骨前方滑りの評価とかは?
・荷重位、歩行時、底背屈自動運動での足部アライメントは?
・足趾の可動域は?
・その他の関節のアライメント、筋力等は?
・エコーとかで確認したの?
新患さんその1(脊柱管狭窄症:治療編)
お疲れ様です。
前回の評価編で問題点を抽出し、
腰椎前弯の軽減と骨盤前傾改善
これらの問題点に対して、治療案を考えていこうと思います。
でも、この2つに関してはお互いに関連しあってますよね。
まあ1つずつ掘り下げていきます。
まず腰椎前弯の軽減について。
そもそも、なんで腰椎は前弯しちゃうんですか?ってところ。
多くは腹部の筋力の低下によるものが考えられる。
今回の症例も、リバースアクションは陽性であるため、これが当てはまるかなと。
、、、
果たしてこれだけなのか?
まあそれは自分の知識がないところですから、まずは知ってる知識で対応していくとする。
治療案としては、まずはドローイン(腹式呼吸)。
しっかり腹横筋とか使って体幹を安定化させる必要があるかなと考えたため行う。
次に、骨盤前傾の改善について。
骨盤前傾の原因の多くは、腸腰筋や大腿直筋の過緊張が考えられます。
今回の症例も、トーマス、エリーともに陽性であるためこれは大きな問題となりますね。
そのため、大腿直筋や腸腰筋のストレッチを行う。
これについては、自宅でできるようにセルフストレッチも指導する。
とりあえずこんな感じで治療していってどう変わるかって感じでやっていく。
(追記)
歩行時のTSt時の股関節伸展で、股関節伸展筋力が低下していると股関節の伸展を腰椎の伸展で代償して症状を増悪させることもあると考えられる。
そのため伸展可動域を出すためのストレッチと、大臀筋や中臀筋の筋力強化も重要かなと考えました。
新患さんその1(脊柱管狭窄症:評価編)
新患さんに対する対応を振り返って分析しようのコーナーです。
今日は脊柱管狭窄症の患者さん。
確か60歳代の男性。
主訴は右大腿〜下腿〜足部までの痺れと痛み。
腰痛は元々あったらしいが、今回の症状に関しては腰は全く痛くないらしい。
さあ評価は何しようかなー。
とりあえず患者さんに会う前に画像を見て軽く評価。
・腰椎の前弯強いなー、これは骨盤前傾してそう。
・L3~4~5の辺りの椎間が狭小化してるから、この髄節で狭窄してそうだな。
デルマトームのやつでも痛みを訴えてる部分とほとんど一致するし、まあ大体合ってるな。
って感じで、初対面、こんにちは。
さっさと評価しないと。また時間かけすぎ!って怒られちゃう。
とりあえず立位での骨盤アライメント。
あーやっぱり骨盤前傾してるかー。
まあ痺れ自体はこれによる神経根への圧縮ストレスだろうな。
じゃあ次は骨盤前傾の原因を探しに行く。
トーマステスト陽性、エリーテスト陽性。
前側はしっかり硬い、、と。
股関節の可動域は?
屈曲130°/130°、伸展は、、取り忘れた。
ほんで外旋が確か60°くらいだった気がする。
SLRは70°/70°くらいだった気がする。痺れ増悪なし。
腰椎の可動性は?
PMテストは陰性、つまり骨盤の可動性は保たれてる。
PLFテストが陽性、てことは腰椎自体の可動性は低下してる。
ちなみに狭窄の髄節レベルは?
キーマッスルってなんだっけなーって考えながら、MMTを行う。
L3:クアド5/5
L4:TA4/5
L5:EHL5/5
S1:ガストロ4/4
ガストロは普通に筋力低下だと考えると、狭窄レベルはL4レベルでの狭窄ってのが分かりました。
TAの筋力低下かー、トゥクリアランスとか低下しそう。
筋力、腹圧とかはどうかな?
股関節伸展4/4、外転4/4。
リバースアクション陽性+腰椎前弯代償。
なるほど、結構弱そうだね。
股関節周囲の筋力低下や可動性低下により、体幹の不安定性を助長して骨盤前傾が強くなってしまってるかもね。
、、、、。
ここで最悪の事態に気づく。
「再現痛」取ってなくね?
神経根の圧迫ならケンプテストとか神経症状でるかとか確かめないとじゃない?
前後屈とかでどこ優位で屈曲していってるから負荷が増加してるんじゃないかとか見た方がいいんじゃない?
あー。ポンコツすぎ。
これじゃ全てイメージで話してることになる。
こんなポンコツはとりあえず置いといて、この症例に対して治療していかなくちゃ。
とりあえずの問題点として、狭窄の症状はL4神経根の圧縮ストレスによるものと考え、
腰椎前弯の軽減と骨盤前傾改善を目的に理学療法を開始する。
今回はここまで。
伸展制限治せない
左変形性膝関節症
伸展制限がなかなか治らない。
そればっかにアプローチしていて膝以外のアライメントに全然目がいってなかった。
骨盤の後傾、股関節外旋位、足関節背屈制限、歩行時(TSt)の股関節伸展制限…
めちゃくちゃやることあったわ。
まずやることは立位でのアライメント改善。
色々やること列挙出来たけど、優先順位ってどうやってつけるべきなんだろ。
教えてください。
自分が考えるに、まずは骨盤の後傾からやっつけていこうと思う。
骨盤後傾、骨盤可動性低下の原因は?
→腰椎の後弯によるもの。
PMテスト、PLFテスト陽性であるため、下部腰椎は可動性落ちてることがわかる。
これらから体幹筋の腹横筋とか腹斜筋群とかが硬そうなこともわかる。
多裂筋とかちゃんと使えてるんか?ここはチェックしてダメならトレーニング。
股関節外旋位の原因は?
→骨盤後傾の運動連鎖によるもの。
シンプルに股関節が硬いってのもある。
ちなみに股関節内旋角度は5〜10°くらいです。
足関節背屈制限の原因は?
→下腿三頭筋がめちゃ硬い。
あと、荷重時に踵骨が回外接地するから外側荷重にもなるし、距腿関節の関節面が不適合でいい感じに背屈可動域が出せないようになってる。
歩行時股関節伸展制限の原因は?
→骨盤可動性低下によるものかな。
大腿四頭筋も硬いからそこもありそう。
まだまだ原因あると思うけど、まだこれしか考えられない。
じゃあここから具体的に何する?ってところ。
徒手で使える時間が20分しかない中で、何するか。
手術とタバコ
今日も一日お疲れ様です。
毎日、知らなかった事を調べて書いていくコーナーです。
今日は手術とタバコの関係について。
調べていくと
タバコってほんとにいろんな悪さするなー。
ってつくづく思う内容が多くあった。
まず大前提として、
喫煙は血液循環に重大な影響がある。
心拍数や末梢血管抵抗、血圧、心拍出量、冠状動脈血流を増やす
、、、。もうこの時点でオペと関係なく普通に悪すぎるけど。笑
まずオペと一番関連するところでいくと
1.術後感染リスクの増加
科学的根拠は十分じゃないらしいが、いくつかの研究で
「栄養状態の悪い患者」と共に「喫煙者」において術後感染のリスクが優位に高いことがわかったらしい。
術後感染ってなんか医者側がミスったみたいに感じちゃうけど、ちゃんと患者側にも非がある事があるってことか。
喫煙者ってだけでなんか栄養状態悪そうな感じするけどね。笑
2.骨の癒合不全または癒合遅延のリスク増大
これはオペと少しズレるけど、ある研究によると
「43%の喫煙者でレントゲン学的治癒が遅れ、完治までの平均期間は非喫煙者に比べ70%長かった」
としている。
癒合不全及び癒合遅延の原因として、
ニコチンが悪いらしい。
骨折では、骨折した部位の血管が損傷してしまうためその周囲は阻血を起こす。
そのため早期の新生血管再建や血流増加が重要なのだが、
ニコチンは早期の血行再建抑制するらしい。
それによって骨癒合が阻害されていくらしい。
ほお〜。勉強になるわ。
他にも、
・喫煙患者では術後血管閉塞の危険が高く、遷延治癒や血栓形成のリスクがある
・手術直後の喫煙は、創縁の循環不全による創傷癒合不全を招くため禁止すべき
・腰痛症との関連あり
色々ありましたがとりあえずこんなもんで。